襲匂い

3月13日(金)より、岩倉AAにて
色と香、グラデーションをテーマにした展示会「襲匂い(かさねにおい)」を開催いたします。

日本の古典的な色彩文化をまとめた書籍『かさねの色目』から、3つの色を抜粋。
その色の重なりや移ろいをもとに、調香師・和泉侃は3つの香りを、履物関づかは3足の履物を制作しました。

今回選んだ3つの色は、展覧会の構成や空間のデザインを考える中で、
季節の気配や、色目のグラデーションから香りが立ち上がるような感覚をもとに選びました。
私たちは、積み重ねた人生の中で感じたことや、美しい思い出、時には苦い時間も、経験として蓄積しながら生きています。
色を見て、その色目の名を感じ、思いを巡らせることで、蓄積された記憶が呼び起こされる。
香りからは季節や自然を感じ、目の前にある履物からは、それに合わせて纏う衣服を想像する。
そこに存在する「あるもの」から、「ないもの」を思い描く。
この展示を通して、そんな思考の遊びを体験していただけたらと思います。

会期中に限り、展示作品の履物はオンラインストアからもご注文を承ります。
遠方の方も、この機会にぜひご覧ください。

98 氷重(こおりがさね)⁣

–表鳥ノ子色・裏白 『四季色目』

氷重は、表を鳥ノ子色、裏を白とする配色です。鳥ノ子色は卵の殻のようにわずかに灰味を帯びた淡い黄色で、白を重ねることで光を受けた氷のような冷たさと透明感を表します。
冷たさだけでなく、光が差し込むときの"柔らかい明度”を感じる色目。

20 菫

– 表紫・裏淡紫 『薄様色目』『色目秘抄』⁣

表紫・裏淡紫の配色によって春先に咲く菫の花の色を表したものです。菫という名は、花の形が大工道具の「墨壺」に似ていることから、「墨入れ(すみいれ)」が転じて名付けられたともいわれています。
やわらかく咲く紫の花の奥にある、静かな陰影を映した色目です。

29 山吹の匂

– 表山吹色・裏黄 『色目秘抄』 ⁣

表を山吹色、裏を黄とする配色。ここでいう「匂」とは香りではなく、色が下から上へと徐々に濃く移ろう配色の変化を表す言葉です。
春の光を受けて輝く山吹の花、その色の移ろいを衣の重なりとして表した色目です。